2013年11月23日土曜日

雑感-「ドライブ・マイ・カー」(村上春樹)

小説の粗筋は書かない。
興味のある人は、図書館に行ったついでに文藝春秋12月号を読んでほしい。
読む気があればすぐに読めてしまう短編だ。

ある初老の役者と女子運転手の話。

村上春樹の小説のパターンとして<謎の女性>がよく登場するのだが、この話では男の妻がそうだ。

男は妻の<真意>を知りたがっている。
<なぜそんなことをしたのか>という大きな疑義に男は苦しんでいる。
何か自分自身に致命的な<盲点>があったのではないかとまで思いつめている。

男の内訳話を聞いた女子運転手は、それは彼女の<病>だと言う。

答えになっていない答えだ。

などと思いながら謎の網にかかってしまう読者も少なくないだろう(私もそうだが)


春樹ワールドに馴染んでいる人はすっと引きこまれていく展開だ(長編の予感)
しかし、嫌いな人はまるでアレルギー反応のような拒絶を示す。

どうも、この作家は好かれるか、嫌われるか両極端の反応が目立つ。
嫌いな人は、彼の小説世界が<リアル>でないと感じるようだ。
作り物めいていて、鼻持ちならない、と。

そういう意味では、村上春樹の小説は<リアル>というものに対する一つの踏み絵かもしれない。

(参考)「ドライブ・マイ・カー」 -NAVERまとめ