す・さ・び・う・た
あちか・の・てならひ
2012年9月30日日曜日
良夜
子々孫々一過を待てば良夜かな
台風
台風の近づく今日を生き急ぐ
良夜
雲切れて人満面の良夜かな
2012年9月29日土曜日
彼岸花
原つぱに刈り残されて彼岸花
2012年9月23日日曜日
フローレス人
過去もなく未来もないとふフローレス人の小さい脳に帰らんいつか
冷たきしぶき
重き窓開くれば冷たきしぶき来て降りこめらるる秋とは知りぬ
2012年9月22日土曜日
ダウランド
ダウランド聴きつつ思ふ この世には悲しみほどの美はなからんと
墓前の青年
祖父母とともに逝くめり少年の彼も墓前に立つは青年
2012年9月20日木曜日
鍵の感触
失せし鍵のその感触をおもふなへゆく足元にその鍵ありぬ
2012年9月17日月曜日
嫌悪の種
冷静か無関心かはわからぬが嫌悪を組織する者はゑむ
2012年9月16日日曜日
のど自慢
若きころなぜか嫌ひしのど自慢みて思(も)ふ かの我すでにあらずと
ひとつの音
違和感のしだいにひとつの音となり慌てて外の干し物しまへり
2012年9月14日金曜日
やせてますか?
その女(ひと)はやせてますか?と女らに問へばいいえと細きが云へり
夜蜘蛛
一匹の夜蜘蛛を殺しき二人して子のことに倦み果てて殺しき
2012年9月13日木曜日
日本語守れ
日本語が現地語となる日にはそを嘆く難し言葉も消えん
群がる鯉
流れ来し西瓜の欠片に大きなる鯉ども群がりつつきて去れり
2012年9月12日水曜日
満員電車
ややあつて声あることを思ひ出す満員電車を抜け出た後で
朝の電車
輸送船の兵士の顔つき見知らねどかくやと思へり今朝の電車に
2012年9月4日火曜日
可能性の生
可能性としてありけん人生も己が生なら死は日々増せり
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