これはこれで

これはこれでよかったのだと大晦日

大晦日

大晦日我に返れば我らかな

納

この国はおさめる国よ御用納め

同じ枯れる

同じ枯れるなら薄よりパンパスグラス

息白く

息白く妹と言い兄と言い

忘れるが

忘れるが人のデフォルト年忘れ

人類と

人類とともに滅びぬ冬の鳥

凍空や

凍空やポケットに「マークスの山」

大人だって

大人だって風邪で世間をさぼりたい

風邪声ねと

風邪声ねと言われたころは若かった

足の裏

「悩んでる時には僕のこと思い出してね」君の足の裏より

海老芋が

海老芋がなくてただの棒鱈食う

開戦日

開戦日忘れる前にやって来る

復讐

子の親に加ふる復讐暗暗と血の伏流ゆ匂ひたつべし

偶然

身辺の事象をただに偶然と念う者には偶有の苦

共時性

共時性の大きな腕に捕らわれたように悲劇の幕は上がる

地に足つかぬ者

ふらふらと地に足つかぬ者みつけ死神は呼ぶ　こっちこっち

冬木立

親の闇そして子の闇冬木立

手袋

手をつなぐ手袋の中に嘘の手

リスク

「これからはリスクを取らない人間は生き残れない」だが長生きする

寄鍋

寄鍋の週末あの頃あの町で