2016年3月6日日曜日

死と生きる

池田晶子と陸田真志の『死と生きる 獄中哲学対話』読了。

読み物としては陸田の「体験談」の方が面白く読めた。

池田は2007年2月に腎臓癌のために死去(享年46歳)。陸田は2008年6月に死刑が執行されている(享年37歳)。

二人とも自分の<死>について<確信>を持っていたように思える。とりわけ陸田が<殺人>について考察するときに、彼が小学生の頃に父親を<世の中で最も憎むべき存在>と嫌い、ひそかに殺意を抱いていたと述懐していることは注目に値する。つまり彼はその時、ある種の人間(不当に自分の上に君臨する者)に対する<殺意>を確信したのである。

そして、その<確信>どおりの一生を送ることになる。ある意味、彼はひじょうに<真面目に><熱心に>、その<確信>を成就させようと<努力>したともいえる。

かたや池田はどうだろうか?彼女の人生がどうだったのか知らないが、結果だけ見ると<死は存在しない>という彼女の哲学的<確信>はその早すぎる死への周到な<準備>のように思えてくる。