2016年3月6日日曜日

兄妹の魂

『青蛙神』-岡本綺堂



「ゆうべの一本杉の茶屋まで行きつく間、我れわれは木立ちの奥まで隈なく探してあるいたが、どこにも彼の姿は見付からなかった。ゆうべ無暗に駈け歩いたせいか、けさは妙に足がすくんで思うように歩かれないので、僕はこの茶屋でしばらく休息することにして、他の三人は石門をくぐって登った。それから三十分と経たないうちに、そのひとりが引っ返して来て、蝋燭岩から谷間へころげ落ちている男の姿を発見したと、僕に報告してくれた。僕は跳ねあがるように床几を離れて、すぐに彼と一緒に第一の石門をくぐった。」

(参)妙義山-Wikipedia